30th September ,2005

金木犀。。。

金木犀の透かしを添付しました。
よく見るのは、丸く刈り込んでいますが、私は刈り込みがあまり好きではないので極力刈り込みは避け、透かしにします。

樹というものは、伐ればきるほど良く伸びます。よく素人の方が、さっぱりとブツブツに枝を落としているのを見かけます。あれは、逆効果です。伐られた樹は、むきになりもっと伸びようとします。
樹も生き物ですから、人間と同じく、上から押さえつけられるといじけいてしまいます。どこかで伸び伸びできるような枝を残してやらないといけません。
一気に縮めようとしても、それは無理な話です。人間でもそうですよね。いい所を伸ばしてやりながら悪いところを修正してやる。樹もまったく同じです。
この写真は、透かし完了の写真です。これでも30~50センチは全体が縮まっています。作業前をとってなかったので、分かりにくいですが・・・この樹はこれで無茶な伸び方はしません。じわじわ伸びていくでしょう。

とにかく、手入れに関しての私の仕事は、樹を落ち着かせてやることです。そうすれば、中のほうから充実した芽が出てきて、それが枝となりそこまで戻してやる。それの繰り返しです。もちろん、大きくしてやりたいときは、戻しませんが。

といっても、大木になった時に小さくしたいという場合には、一度バッサリいってしまいます。それからもう一度樹を落ち着かせてやるやり方をするのです。

私の役目は、ただ伐ってるわけじゃない。樹と対話し、落ち着かせているのです。

28th September ,2005

ナンキンハゼ。。。

ナンキンハゼの木がクスノキに負けて、斜めに倒れるようにして伸びていた。今の時期は実もなる為、枝は垂れ下がっていた。
近所の六十歳くらいのおばさんが来て、ナンキンハゼを見て「かわいそうだから、垂れた枝を切ってあげたら?」と言った。
私は思った。それは、人間の考えである。ナンキンハゼくんからすれば、クスノキに負けないように頑張って伸びてきたはずである。どうしても、クスの成長に勝てず、一生懸命光を求めて伸びてきたはずである。はたして、その枝を落としてやる事が優しさだろうか・・・私はそうは思わなかった。

木は、苦しくなれば自分で葉をふるい、自分で枝を枯らす。斜めに伸びたナンキンハゼくんは、かわいそうではなく、これが自然の摂理である。たとえ、人工的に植えられたものであっても、そこからは、ナンキンハゼくんの人生である。

今日の出来事で、過保護な子育てでしかれない人の多いと言われている世の中の象徴だと思った。それと同時に、人の持つものさしの長さの違いを感じ、勉強になった。。。

17th September ,2005

庭師という職業との出逢い。。。

高校卒業後、バイク屋を開きたくて大学の工学部に進む。
・・・が、そのころはまっていたブリティッシュバイク以外はいじりたくない自分に気づいた事と、教科書から学ぶ事の物足りなさを感じ、バイク屋の道を諦める・・・これが大学入学1ヶ月後のこと。。。

その後2年間は、遊びまくりました。

そんなある日、自分の将来に不安を感じ始める。。。
このままでは駄目だ。なにか、自分のやりたい事をみつけなければ・・・
教科書からでは熱中できない自分を発見した為、もう職人になるしかないと思い、まず思ったのが、『大工さんになろう』でした。

とりあえずバイトで探してみようと、職安にいったり多方面でも探しているうちに、なぜか庭師の親方と出会いました。「バイトしてみんか?」と言われ、私の庭師人生が始まりました。
バイト初日に、すでにはまってしまい、これは私の天職だと思いました。

それにはある理由があった。
子供のころの出来事だった。。。

自分の命を救ってくれた樹木と同じ種類の樹がそこに育っていたのです。

「おれはこの樹に命を救われた・・・今度はおれがこいつらを守る番かもしれん・・・」

何かそんな気がしたのです。。。

きっかけって、何がどうなるかわからないもんですね・・・

17th September ,2005

blogを始めた理由。。。

日々の生活の中で感じたことや、仕事の事をお話しすることで、少しでも作庭家、庭師という仕事を皆さんに知っていただければと思います。

職人は、あまり自分の仕事の事を話したがりません。
口で表現するのが苦手なんだと思います。でも私は、それではまずいと思っています。世の中に庭に関わる仕事に就いている人はたくさんいます。ただ、どこまで情熱を持ち、いいものを作りだそうとしているのかはまったくわかりません。
なんとなく形になればいいと思っている人が結構多く、またニーズにも合ってしまっているのです。腕がなくても口で仕事がてしまう。

これだけの情報社会でも自分の知識は微々たるもんです。クライアントの皆さんがいろんなものを見て、いろんなパターンの庭があることを知ってその上で納得できればいいのですが、そうばかりではないように思います。

庭は作庭者によって、また管理する人によってまったく姿を変えてしまいます。
私にできる事は、地道に思いを伝え、作ったものを見せ、そうすることで少しでも多くの人に私の仕事を見ていただくことだと思いました。頑張るんなら一人でも多くの人に見てもらおう・・・微々たる力だが・・・
それが、ブログを始めた理由です。。。