11.6月.2007

モノを大事にする気持ち

ここ二週間は、日曜日は現場を空けています。。。
段取りや、挑戦の日に決めています。。。
時間にゆとりがなくなると、引き出しがなくなってきます。。。
パワーをためなければと思い、日曜日は準備の他に、道具の整備、新たな発想の確認の時間にしています。。。

それはさておき、以前、俺の作庭にとって、一番重要なことの話をしたと思う。
俺が何のために庭を作るのか、作庭する上で何を一番考えるのか。
俺には、庭を世の中の人達に伝えていく役割がある。
いかに愛着を持てる庭を提供できるかが俺の力量にかかっているわけだ。
完成引渡し後、現場に立ち寄った時にきれいに管理されている庭なら成功なのです。

自分のエゴで庭をつくるわけじゃなく、自分がお客様になりかわって、自分の発想を表現するのです。

このお客様には、こんな感じの庭が・・・
そんなことを思って作庭する。
俺の庭には、あまり既製品がない。

そこには、一つのこだわりがある。
完璧にきれいなものに、あまり魅力を感じないんです。
少しゆがんどったり、曲がったりしとるものに魅力を感じてしまうというか、それを生かしたいとおもうんよな。
誰が見てもこう使うってわかりきった製品に魅力を感じんのんよな。。。
俺ならここを使う、他の人なら違うかもなってところに個性を感じる。。。
「石はこう据える」なんて言う人もいるが、それはその人の考え方で、それが絶対ではないと思う。
どんな据え方をしようが、どんな庭の見方をしようが、据える人、見る人の自由だ。

なぜうちに仕事を依頼してくださったのか。。。
なぜそのお客様と出会ったのか。。。
そんなことを考えていると、自分そこに庭を作る意義を考えてしまう。。。
俺がやらなかったら、これはしないだろうな・・・なんて事をどんどん増やしたくなるんです。。。
個性を発揮できる材料をふんだんに使いたくなる。。。

よく、「安けりゃなんでもいいんだよ。」なんて話を聞いたりする。

安いってなんだ。。。

何が安くて、何が高いんだ・・・

もちろん、安いに越したことはない。

しかし、安いからいいってわけでもない。
最低限かかる金額ってのはある。極端な話、10円じゃどうにもならんもんな^^
もちろん、ないお金をつくって無理をする必要はない。
安いもん買って、何気なく見てるより、少しだけ無理して、ずっと眺めていたいものを買うほうが安いんじゃないかな。。。

ただ俺は、そんな時こうアドバイスをする。

「無理する必要はないですよ。ただ、無駄なお金をかける必要もないですよ。お金をかけて喜べないなんてもったいないですよね。納得いく庭を作って、大事に管理してください。一気にする必要もないし、できるときにやったらいいじゃないですか。二度と作り替えなくてもいい、壊したくなくなるものを作りましょう。」

何でも簡単に手に入ってしまうものって、面白みがないんよな。
一所懸命、やっと手に入れることができたものって大事にするもんね。
要するに、モノを買うってことは「気持ちを買う」ってことじゃないかな。。。
何かを手に入れて、幸せな気持ちになる。喜べる。

前に、Aさんが、値段は高いがこの茶入れが欲しいと言った。
Bさんは、どうせあんまり使わんのんじゃけー、そんなに高いのじゃなくていい。と言った。
俺はBさんに言った。
Aさんは、使う使わんは関係ないんよ。

それを買って、持っていることに喜びを感じる。
それを見るたびに癒される。
その幸せな気持ちになれる時間を買うわけじゃろ・・・

庭も一緒なんよな。。。

そんな中、「流れのある庭」でもすでに、完成前の庭をお客様がめちゃくちゃ大事にしてくださっています。
ご主人も帰りが早くなったり、夜中に樹木のことが気になって庭に出たりって話も聞いたりします。。。
先日も、旅行に行かれたらしく、「いろんな庭をみたけど、この庭を見慣れたらなんか他の庭では満足できんかったわ。この庭はのびのびしてていい。」
って言ってくださった。

また一人、いや二人、庭に愛情を注いでくれる人を増やすことができたと嬉しく思う。。。
もちろん、俺の力だけではないが、少し手助けはできているだろう・・・

モノが大事にする気持ち・・・

自分も忘れたくないし、何か少しでも庭を通して伝えていきたいと思う。。。

たぶんすべてにつながってくるんだろうね。。。