作庭衆 庭譚(にわたん)/LANDSCAPE NIWATAN DESIGN+ARTISAN OFFICE
Landscape artisan & Director Zenjiro Hashimoto
tel / 084-983-1128
fax / 084-983-0028
e-mail/ niwatan2001@gmail.com

今日は午前中図面や段取りなどを済ませ、午後から現場、手入れに行った。
昨日から、タツキが応援に来てとるけーほんまに助かる。。。
二週間ほど前に、新たなスタッフが1人入り、今いろいろと話をしながら仕事をしているが、今日こんなことがあった。
今日の現場は毎年 年に二回入る地元の古いお寺。
そこのお母様が、おれが落とした山茶花の枝をお供えに使いたいとせっせと拾ってた。
その間、お母様はいろんな話を俺にしてくる。
おれは、そんな時、手は止めないが、仕事のペースを落としゆっくりと鋏を入れる。
話の腰を折りたくないから。
そんなやりとりをしている中、若いスタッフがこちらに歩いてきて、
「もうこの枝は運んでもいいですか?」
と枝をより分けている途中のお母様に尋ねた。
お母様は、
「もう少しだけそこに適当においてもらって残りは運んでください・・・それより、お茶を飲みなさい。あっ、三時のお茶を準備しなきゃ。。。話はまた後で・・・」
こう言い、中に入っていかれた。
結構大事な話の途中だった・・・
おれは寂しそうなお母様の背中を見送り、少し悲しくなった。。。
若いスタッフに言った。
「空気を読め。」と。。。
お母様は、いつもおれに言う。
「あなたが来てくれたらほんとにうれしいのよ。
話し相手がいてくれて、庭も綺麗になるし、心がスーっとします。。。」
だからおれはいつもお母様との会話を大事にしてきた。
仕事ってほんとはこれが一番大事なことだとおれは思ってる。
庭を綺麗にしたり、樹を元気にしたり、そんなことは当たり前にすることで、でも一番大事なことは、「きもちいい、うれしい」そう思ってもらえること以外に何があるんだろうか。
おれは最近、よく若い奴に話す。
なぜおまえが生活できるのか。
女を守るってどういうことなのか。
やりたいことをやって生きるってどういうことなのか。
曖昧に捕らえていることがほんまに多いんじゃ。
でもこれをわかりやすくコトバに変えると、このすべてに「お金」って関わってくる。
おれは「お金」にそんなに執着はないし、贅沢したいなんて思ったこともない。
でも、やりたいことをやるとき、やっぱり「お金」はかかる。
とにかく「生きる」ことに多少なりとも「お金」がかかる。
じゃあ、その「お金」はどうやって生まれるのか。
それは、人が相手に対する「感謝」の気持ちに他ならない。
「感謝」を「お金」に換えているだけのことなんじゃ。
だから、動けばいいんじゃない。感謝されなきゃやっても意味ないんだ。特におれらの仕事は。
おれは若いスタッフに言った。
「俺らは芸術家じゃない。職人だ。
相手がはじめから決まってて、その人に喜んでもらえる仕事をするだけのこと。
おれらはその中でも「一段階上の喜び」を味わってもらえるように頑張ってるだけ。
それは、経験がないとできないことばかりじゃない。
経験がなくても、ほんとに親身に相手の気持ちを考えてあげれば出来ることが必ずある。
それは、俺や、応援に来てくれた職人、周りのすべての人のことを同じように考えればやることは出来ることは山ほどある。
相手の立場に立てない奴に「生きるチカラ」は身につかない。
どんな仕事につこうと、これは絶対に変わらない。
よく考えろ。。。」
ほんとは、仕事なんて何やってても変わらない。
それに気がつけば「人」ってどんどんおっきくなる気がする。。。
気付くということは、凄いことだと思う。
人が気付くとき、必ず人が絡む。
自分ひとりで気付くことなんて何もない。
自分が出会い、話し、関わってきた出来事。。。
そして、その出会いによって自分が何に心を動かされてきたのか。。。
そんなことを思うと、おのずと自分の道が見えてくる。
でもそれは、本当は勘違いなのかもしれない。。。
勘違いでもいい。
それを心から楽しいと思えるなら。。。
おれはそう思う。。。
気付くということはほんとに素晴らしい。。。
このたび、2012年5月22日〔火〕にオープンする『 KOKORONE hair 』。。。
Tamada工房㈱ 大町知己:建築、有限会社 ジムアンドカンパニー Kazumasa Kuwada:ロゴデザイン、作庭衆 庭譚(LANDSCAPE NIWATAN DESIGN OFFICE) Zenjiro Hashimoto:庭 の三人が、オーナ:原田雅之という「人」を焦点にあて、設計、デザインしたヘアサロンが誕生します。
外部のようで内部な雰囲気をもつ空間です。
1F店舗部分 床はすべて 作庭衆 庭譚(LANDSCAPE NIWATAN DESIGN OFFICE)施工です。
すべてを庭に統一しています。
デザインとは・・・
なぜこだわるのか・・・
ここで何がしたいのか・・・
時には言い合いもし、朝方までの討論が何度も続きました。。。
デザインではなく、本質に関わる話し合いを何度も重ね、オーナーを丸裸にするような空間が誕生しました。
皆様に広くご覧いただけましたら幸いです。
日時:2012年5月12〔土〕 10:00~19:00
13〔日〕 10:00~19:00
場所:福山市新浜町1―1―8(新浜の川沿いクロネコヤマトを東へ500m、一つ樋交差点前) 当日連絡先 090-6412-3562 Zenjiro Hashimoto
建築 設計施工: Tamada工房㈱ 大町知己
ロゴデザイン : 有限会社 ジムアンドカンパニー 桑田和真
庭 設計施工 : 作庭衆 庭譚(LANDSCAPE NIWATAN DESIGN OFFICE)

後藤亜貴建築設計事務所とのコラボレーションによりつくりあげた住宅空間が竣工いたします。
施主さまのご厚意により、建築見学会を開催させていただくことになりましたのでご案内申し上げます。
建築家と作庭家が 設計段階から意識を共有して「つくりあげる」空間 に感心のある方に、広くごらんいただけましたら幸いです。
日時:2012年4月22日(日)10:00~17:00
場所:福山市水呑町4504 当日連絡先 090-6412-3562 Zenjiro Hashimoto
建築設計: 後藤亜貴建築設計事務所
建築施工: ㈱鈴木工務店
庭 設計施工: 作庭衆 庭譚(LANDSCAPE NIWATAN DESIGN OFFICE)
これは、少し異例の依頼であった。
本来であれば、住宅展示場というのは普段から付き合いのある協力会社の仕事である。
しかし、今回は「庭と建築を一体とし、庭で建築を引き立てる」というコンセプトを基に『LANDSCAPE NIWATAN』に白羽の矢がたった。
打ち合わせは毎度数時間にわたった。
最初から、設計部のイタミさんとやりあった。
ある程度話を聞いた後、俺は口火をきった。
建築コンセプトは何なのか・・・
なぜここに窓をつけたのか・・・
フロアレベルは?天井レベルは?素材は?なぜ?その意味は?・・・
それは、設計者からすればとても厳しいことじゃと思う。
できれば避けたい部分だと思う。
なぜなら、曖昧な部分を全部突っ込まれるわけだから、ちゃんと細かい部分まで考えて設計してないと話にならんのんじゃ。
通常のハウスメーカーの業務で、住宅設計者が造園側から説明を求められることはまずない。
それを今回はやろうというのがこのエス・バイ・エル・カバヤ㈱の設計部の凄いとこじゃった。
おれは色んな話を聞き、俺が庭をつくる意味を深く考えた。
以前から俺にはある一つの想いがあった。
それは 「空間に対する人の感覚を底上げしたい・・・」ということだった。
なぜ「まち」が良くならないのか、間違ったことを平気で言い、それに従う行政が生まれるのか・・・
その答えがここにあると思っているから。。。
だから俺は始めの打ち合わせの時に言った。
「おれが人が集まる庭をつくる。だから頑張って家を売ってほしい。。。」
その時はここで留めた。。。
俺には更なる想いがあった。
それは、打ち合わせ中にイタミさんの口からふと出てきた言葉だった。。。
「これをやると営業に怒られるかも・・・」
おれはその言葉に違和感を覚え、何となく察しがついた。
通常、設計というのはその想いが伝わらなければ面倒くさい作りのものが多い。
面倒くさいというのは、決まったカタチのものではないということ。
使い勝手も変わってくるのである。
だから、設計部がつくったものを営業部が売る場合、その想いが伝わらばければ売りにくくてしょうがないのである。
おれはこの体制はまずい・・・すぐにそう思った。。。
そこでおれの闘志に火がついた。。。
『みんなをひとつにしよう・・・それが、今の流れを変えることになる・・・』
おれはその一心で庭のデザインにはいった。。。
以前からおれのことを知ってくれていた設計部とのやり取りは比較的スムーズだった。
建築、庭、共に設計を見つめあいながら一つの空間を目指した。
時間をかけて設計は完成した。
あとは『やるだけ』だった。
厳しい工程を突き付けられ、ヤバいと思ったこともあった。
しかし、おれにはもっと想うことがあった。
エス・バイ・エル・カバヤ㈱の事情を100%呑む。
その上で、他と差をつける。
でなければ、この「底上げ」は失敗する。。。
おれは、完全に向こうの要求を呑みこんだ。
車が入れるのは3日、工期は2月末、足場が外れ工事に掛かれるのが2/10。。。
これで、8.5mの樹木を含む植栽や、流れをつくる石組み、更には、中庭はすべて人力・・・かなり厳しい工程だった。。。
それでもおれは覚悟を決めた。
それは、『みんなをひとつに』・・・その想いだけだった。。。
おれ一人の力では到底無理だと判断し、仲間に頭を下げた。
東京 しおの(塩野潤 と 弟子の王子)、滋賀 作庭衆 永屋拓郎(タクローちゃん)、滋賀 庭職 きらく(村田康行)。。。
うちの竜樹をあわせて6人でこの現場に挑んだ。
おれはみんなに想いを打ち明けた。
みんな共感してくれた。
毎晩遅くまで頑張ってくれた。
結果、『エス・バイ・エル・カバヤ㈱の事情を100%呑む。』という目標は達成した。。。
工事中、遠くから十数名の団体がこっちにくる気配を感じた。
営業部のメンバーだった。
おれは何気なく見ていたが、少し時間が経って声を掛けた。
正直、はじめはあまりいい印象とは言えなかった。。。
途中、ちょっとしたイザコザもあった。
しかし、真剣に向き合っているうちに、いつしか仲良くなっていた。
おれは、管理が大変になることを詫びた。
それと同時に、この庭や建築に対する想いを伝えた。。。
みんな快く受け入れてくれた。
結局最終的に丸く収まったが、設計、インテリア担当、営業、監督、すべての人と少しのイザコザを起こし、闘志を剥き出しに向かっていくこととなってしまった。。。
そして、長いようで短い16日は終わった。。。
おれは、最後にどうしてもやりたいことがあった。
それは、設計部、営業部、現場監督のみんなで祝杯をあげることだった。
そして今回の展示場について、それぞれの想いを聞きたかった。
OPEN前に、その場は設けられた。
みんなで和気藹々と飲んだ。騒いだ。。。
おれはみんなの話を聞き、そして言った。
みんな、正しいと思うことをしてほしい。
サラリーマンだからとか、何かに理由をつけてこれは無理とか、そんな考えは捨ててほしい。
やりたいことをやって怒られて、それでいい。バランスをとって、ほんの少し前進できればそれでいい。
いつか必ずできる。そう思って、やり続けてほしい。
今の会社に満足しちゃいけん。変えたいことに眼をつむっちゃいけん。
ひとりじゃできんでも、みんなですればええ。
おれも一緒にがんばる。
だから、みんなが進みたいように進もう。
そして、会社を伸ばそう。
現場で実績をつくって、みんなの会社にしよう。
売りたいモノをちゃんと売れる会社になろう。
やるど~~~~!!!!!
みんなでそう心に誓い、みんなと別れた。。。
この一瞬でも、『みんながひとつ』になった気がした。
おれはほんまに思った。
エス・バイ・エル・カバヤ㈱でよかった。。。
いい仲間に出逢った。。。
今、現場はひとつになりつつある。。。
仕事とは・・・デザインとは・・・
ほんとはどうでもいいこと。。。
でも、どうでもよくないこと。。。
ただ、本当にやりたいことは、「庭をツクルこと」でもなく「デザイン」でもない
自分にしかつくりだせない『笑顔』をつくること。。。
それが、すべての人が仕事をする意味ではないかとおれは思う。。。
まだまだ始まったばかり。
この『庭』がどういう効果と力を生み出してくれるのか・・・
現場で引き継いでくれた 営業部のみんなに期待です。。。
是非、エス・バイ・エル・カバヤ㈱のみんなに声を掛けに行ってあげてください。
想いをもったみんなが、いい眼をして頑張っているはずだから。。。
みんな頼むね!!!
東京 塩の (塩野潤)がブログに現場の事をアップしてくれた。。。
http://niwajun.blog104.fc2.com/blog-entry-106.html
ありがとう。。。
もう少しバタバタしているので、おれの想いは後日アップします。。。
今週半ばから、「お祭り」のような現場に着工する。。。
本来なら一ヶ月はかけたい現場。
ただ、工期にいろんな制約があり二週間で完結せんといけんのんじゃ。
さらに、そのうち9日間は車の出入りができない。。。
実質、初めの5日間がほんまに勝負なんじゃ。
実は、今年の4月末で一番弟子であり番頭の竜樹は独立、帰省する。
それもあって、この工事には東京の仲間と、滋賀の仲間 計4人に応援を要請した。
竜樹は俺のもとに来て3年ちょっと。
まだまだじゃけど、ほんまに頑張り屋でよう成長した。
今週から4月末まで、面白い工事が続く。
この三か月の現場は竜樹への餞別じゃと俺はおっもっとる。
あいつが初めて俺のもとにきてはいった現場は『森×hako』じゃった。
昼夜関係なく二か月間、庭に没頭した。
来てすぐに、大変な現場を経験した竜樹は、完成前々日に疲労と安堵感からか寒気を装い倒れた。
しかし、完成前日の朝には元気な顔で出てきた。
そうやって、あいつは体力と根性を培っていった。
難しい仕事も、朝までかかってでもやらせた。
俺が現場を上がった後も、必死で頑張っとった。
そうやって、徐々に手仕事を教えていき、スキルを磨いた。
そして、様々な問題を起こすことで俺にも勉強させてくれた。
俺はずっと竜樹に言ってきた。
「20代のお前に充分な金は与えない。ただ、生涯お金を生むことができる『スキル』をおまえにつけてやる。だからがんばれ。求めることはだんだんレベルアップしていく。高い要求をされる度に、「ここまでは来た。」と思ってがんばれ。。。」
もうどこに行っても重宝される人材に育った。
本当の『スキル』は心の中にある。
『スキル』を身につけるだけの心と根性さえあれば、もうそれで十分なんじゃ。
最後に近い現場で俺は竜樹に餞別として、一流のスーパー助っ人を呼んだ。
東京 塩の潤 、滋賀 永屋タクロー。。。
彼らと共に一つの庭をつくることができるのは二度とないかもしれん。
この餞別で、もう一歩成長してほしい。。。
この経験は、必ず今後に生きる。
今、うちは「スタッフ募集」をかけとる。
でもなかなか応募がない。
若者に一言言っておく。
人生に安定なんかない。
もしもあるとするなら、それは「スキル」に他ならない。
この世に無くなる職業なんてない。誰よりも素晴らしい「スキル」と「根性」を身につければそれは一番の安定となる。。。
20代で金もっちゃだめじゃ。
お金がなくても楽しく遊べる「スキル」を磨くのも、20代の特権じゃけえな。
そんな20代で、楽して金もらったらほんとの楽しさはわからんのんじゃけえ。。。
とにかく苦しいことに飛び込んだほうがいい。。。
目先の金じゃなく、生涯の豊かさを真剣に考えてほしい。
話がそれたので、このことは後日、もう一度アップする。。。
とにかく、これからの現場で竜樹に餞別と共に恩返ししようと思う。
カタチは違うが、「スキル」と「楽しさ」というモノで。。。
打ち合わせ終了後、二月の工事の段取りと、三月からの工事の図面調整と見積もり作業。。。
最近いろんな壁があるけど、やらなければならないことを信じ続けてやり続けるしか道はない。
神様が見ていてくれることを信じて・・・
でも、ほんま、まだまだ自分に甘いんよな~。。。
やっぱ神様がみとんかな~。。。
すべてはタイミング。すべてを信じてやり続けるしかないけど、それによってプレゼンが遅れたり、工事が遅れたりと周りに迷惑かけとるのも事実。。。
それはほんまにツライことじゃし、申し訳なく思う・・・
ほんとにすいませんという気持ちだ。
提案ってほんまに難しくて、すぐに案が出てくる物件もあれば、そうでないものもあったりして。。。
それは、建築条件だったり、立地の問題じゃったり、いろんな条件があるんじゃけど、一概に難題がある物件の発想が出てこないわけじゃない。
いろんなことが関係して発想を妨げる。
そういう意味では、工期が決まっているものの方が出やすいのかもしれない。。。
と考えていると、結局自分の甘さに気付くんよな~・・・
おそらく、発想は無限なんよな。
じゃけえ、時間を与えられれば与えられるほど考えてしまう。
永遠に考え続けるんかもしれん。
どこで線引きするのか・・・それが永遠のテーマかもしれない。。。
最近はよく、「忙しいのに申し訳ないですね・・・」ってクライアントに言われる。
そう言ってくれるクライアントの言葉の中には、変な気持など微塵もない。
だからこそ、その度に反省する。
忙しいと言わざるを得ない自分に反省する。
そんなことをクライアントに心配させては問題じゃと俺は思う。
いつでもみんなの気持ちに答えたいと思う。
その為に、やらなければならないこともたくさんある。
作り続けるっていうことは、ほんとに大変なこと。。。
ありがたいこと。。。
ただ、ほんとうに『つくり続ける』ためには、つくることだけじゃダメなこともよくわかってきた。
ありがたいと思えるから、真剣にそう思う。。。
更なる一歩を踏み出さんとな。。。
二月の中旬から二週間、自分の中で「お祭り」と思っている工事に着工する。
それまでは、更なる一歩の軸をつくる時間にとおもっとる。
そして、二月からスタートし、怒涛のように迫ってくる現場で、「庭」というモノに没頭したいと思う。
もう一度、原点に戻りたいと思う。
もちろん前向きに。
あっという間に夏がきそうじゃわ。。。