06.11月.2006

初弟子、研修に。。。俺の心の中の人。。。

そろそろ、弟子をとろうかな・・・と思っています。。。

ということで探していましたところ、一人の熱意ある若者が電話をくれました。


ということで「一度バイトとして、俺がどんな仕事してるのか経験してみた方がいいだろ。」て話をして・・・

今週彼がはるばる長崎から来ます。。。


どうしてそんな遠いところから来てもらうかっていうと、やっぱり修行って一人じゃないとできないんじゃないかって思うんです。

修行ってほんまは仕事覚えるんじゃないんよな。

一人の立派な人間になる為に、心を磨くんよな。

始めた時は、そんなことはわからない。技術を覚えようと必死にがんばるんよ。
それもいいだろう。。。

でも、技術なんてものは、時間かけて一生懸命やりゃできるようになるんよ。

要は、修行ってのは、一人になって、極限に耐えるってことじゃとおもうんよ。
それに耐えられなきゃ、職人なんて続かん。

何やっても続かん。


そして何より、作庭ってのはものづくり。しょうもない人間がつくるとしょうもない庭になるんよ。

人格以上のものは作れん。


俺はそう思うんよ。



俺は、修行時代にいろんな事を経験した。

親方には毎日よく叱られとった。

鋏が飛んでくることも。。。


そして、とことん貧乏じゃった。。。

食べる物を買うお金もなく、うまい棒でごはんを三合食べるなんて事はよくあった。

ただ、有難いことに、お米をくれるやさしい人がいてね^^

白飯はよくくったわ。

弁当は、毎日自分で作り、日の丸弁当に、おかずはウインナー二本。

夜はバターライス、ラーメン、たまごごはんの繰り返し。

たまに、レトルトカレーなんてほんまに豪華な食事じゃった。

外食なんてもってのほか。

野菜は早朝に朝市に行き、農家のおばちゃんに安くわけてもらった。

肉なんて滅多に食えんかった。

ただ、そんな中でもやりくりして、庭の本は良く買っとった。

そのうち、いろいろあって、本も買えんくなり、アパート代が払えんくなり、アパート追い出された。

寝床も失い、かといって泣き言言って実家には帰れず、途方に暮れた時期もあった。。。

今時、金もない、寝床もないなんて・・・

もう庭師は無理かも・・・って思った。



そんな時、一人の漁師さんが俺を拾ってくれた。。。



どん底に落ちた俺を。。。



家に泊めてくれて、毎日刺身を食わしてくれた。

毎晩酒を酌み交わし、人の道を教えてくれた。

頑張れと言ってくれた。

この人は、昔は極道だったそうだ。

ある時期を境に、スパッと足を洗い、今はまじめに漁師をされていた。


俺を見る眼はいつも優しかった。

叱ってもくれた・・・が、いつも最後は優しく笑ってくれた。。。


仏のような人だった。


俺の心の中が見えるのか、ゆっくりと紐解き、再び庭師の道に導いてくれた。

いろんな話をしてくれ、悩んでいると飲みに連れてってくれた。フィリピンパブに・・・

何も言わず綺麗なネーちゃん達と騒ぎ、帰りの車の中でポツリ、


「ぜん、ばかになった者勝ちじゃいや(下関弁)。がんばれや。」


そう言ってくれた。



そんな優しい漁師さんとの毎日の生活の中で、俺は、自分のちっぽけさに気づいた。


この人は、なんてすごい人なんじゃろう。
俺は、絶対にこの人のような人になろう・・・そう思った。


結局、約一年ここでお世話になった。
家賃も、食費も払わず・・・

なんの恩返しもできなかった。


今の俺を一番最初に作ってくれた人。

今、その人に会うことはできないが、いつも心の中にいる人。


話はそれたが、これはまだほんの一部の話。


こんな経験って一人じゃけーできた。

自分の力でなんとかしようっておもっとるけー、誰かが手を差し伸べてくれた。

一人じゃ生きていけない。でも、自分で精一杯頑張らんと、そんな人とは出会えない。

今の時代、うまい棒で三合めし食う奴なんておらんって思うじゃろ?
10年前はおったんよ・・・俺が・・・


ほんま、今じゃ信じられんような事が、ふつーにおこっとったんよな。

じゃけー、早くに独立できたし、庭師が辛いなんて思ったこともない。

そんな修行ができたけー、今こうして頑張れる。。。

じゃないと、今までお世話になった方々に怒られるわ^^




それが、今まで俺に優しい手を差し伸べてくれたたくさんの人への恩返し。。。




とにかく頑張ることが。。。



そして、弟子として入ってくる若者を、独り立ちできる立派な人間に育てることが。。。



そしてまた、自分も弟子に育ててもらうんだと。。。


こうして、御恩を御恩にかえ、しっかり繋げていこう・・・