25th December ,2012

なんとか。。。

倉吉の「じゅんにい」、出雲の「ミハラちゃん」、東城の「タツキ」の四人で一気に仕事が片付いてきた。。。



ずっと見守ってくれている「手入れのクライアント」の皆さんにもなんとか迷惑かけることなく終われそうです。

みんなにほんとうに感謝。。。


ただ、「工事のクライアント」へのプレゼンが少し遅れ気味・・・



引き続きがんばるけど、年賀状がやっぱり元旦になりそうです



最近もたくさんいろんなことがあって、ここにも書きたいけど、今は仕事を優先します。



ただ、来年もワクワクするような工事が立て続けにあります。。。


パワーをためて。。。

12th December ,2012

『TEAM NIWATAN』。。。

とにかくやることがいっぱい・・・


図面の締切も、打ち合わせも予定がいっぱい。。。


現場はといえば、年内はもう間に合わないかもしれないくらいギュウギュウで、倉吉から「じゅんにい」ことかわべぢゅんが応援に来てくれてて、ときどき「kokorone hair」の原田も来てくれたり、エダヒロしゃんも来てくれたり、しあさってからは、出雲から「みはらちゃん」が来てくれて、多分そのころ「タツキ」が来てくれる。。。

今は年間通常の「手入れ」に回ってるんだけど、この仕事はかなり大事な仕事。。。
それは、忙しくなかった頃に応援してくれてたクライアントが多いし、みんなずっと応援し続けてくれてるから。
時期がかなり遅れてる現場もあるけど、みんな「いいよ^^来れる時で。。。」って言ってくれる。。。
現場に行くと、みんなすぐにお茶出してくれて、すごく話しかけてくれる。

ほとんどのクライアントが会った瞬間に「ちゃんとご飯食べてる?体大事にせんと駄目よ。無理しちゃダメ。まだまだこれからなんだから。。。」って気遣ってくれる。。。



クライアントも、仲間もみんなが一緒になって助けてくれる。。。



みんな「team NIWATAN」。。。



本当に幸せを感じる。。。


みんな・・・ありがとう



じゃけ~がんばれるんよな。。。

11th November ,2012

『ふくやま美術館ワークショップ ~庭師 善次郎さんと庭を回ろう~』を終えて。。。

このワークショップは、飛田さんをはじめ、学芸員の平泉さん、羽原さんの尽力により実現しました。


私には「ふくやま美術館」に対してのひとつの想いがありました。
それは、「福山」にある「ふくやま美術館」だからこそできる、身近なモノを美しいと思える時間と感性を提供してほしいということでした。

実はこの企画、ちょっとしたことオレのヒトコトからがスタートしました。

そのヒトコトの第一歩を踏むために、企画制作段階で何度も打ち合わせをし、このワークショップの意味をお互いに共有していきました。

それは、内容から、年齢層まで、どこに投げかければいいのか・・・ということまで、事細かく。。。


その難題に応えてくださった「ふくやま美術館」の皆様には感謝しています。


羽原さんからもワークショップの始めにお話がありましたが、今回のようなモノを作らないワークショップは美術館として「前例」がなく、はじめての試みでした。

公共機関で「前例」がないことを行うということは非常に大変なことなのです。

それをこの3人の美術館スタッフが頑張ってくださいました。

「前例がない」という大きな壁を乗り越えるために、上にプレゼンしてくれたスタッフの皆さんには本当に感謝します。


この試みにはもっと大きな目標がある。

これで終わりではありません。

もっと大きな渦に変わるよう、これからも美術館の『仲間』と頑張っていきます。


このような活動が次に繋がってくれれば本当にうれしく思います。

応募くださった皆様の中で残念ながら抽選にもれてしまった皆様、今回は本当にすいません。
また別の企画も考えていますので、その時はまたご応募くださいね^^


改めて、飛田さん、平泉さん、羽原さん、素晴らしいワークショップ企画、ありがとう^^
今後も楽しいことどんどんやっていきましょうね!!!


30th October ,2012

常識。。。

先日、広島県立福山明王台高校で講演をした。

全校生徒950名くらいかな。

題名は「自然に生きる」。。。

一時間と言われていた時間はあっという間に過ぎ、結局1時間45分も話してしまった。

おれは、事前に話すことを決めておくのが苦手なんよ。
だから、みんなの顔を見ながら話そうとおもっとった。

とりあえずは、おれが何をしている人間なのか、どうしてここに呼ばれたのか・・・そんな話をした。

それから、高校時代から今まで、どういう道を歩んできたのか、これからどうしていくのか・・・など。

高校時代の話は、打ち合わせの段階でほとんどがNGとなり、ほぼ話すことができなかったが、その後の人生においては包み隠さず話した。

生徒たちははじめの話なんてどうでもよさそうだった。

が・・・

どういう道を歩んできたかって話になると、だんだん真剣に聞き出した。

おれはいろんなことを話した。

そんな中で何度も言ったコトバがある。

それは、「常識に惑わされないこと」。。。

「世の中の常識」というものの中には、元の「本質」というものが隠れている。

だけど、「コトバ」は独り歩きし、そのうち「本質」は伝えられなくなっていく。

「常識」を伝える人間も、歳も立場も関係なく、自分の立場を基準に発言していく。

それによって、いろんなことが歪んでいく。

このネットという媒体もその一つだと思う。

不特定多数の様々なレベルの人間が同じモノを見て何かを考える。

それはそれでいいんだけど、それがすべてだと思うならとても危険なことだとオレは思う。

世の中はとても便利になってきた。

ただそれを機に、大事なことが伝えられなくなってきているとオレは思う。

例えば・・・

「バリアフリー」このコトバを耳にすることはほんとに多い。

「完全バリアフリーです」って自信を持って言ってる人を見ると悲しくなってくる。

すべてにおいて悪いとは言わない。

でも、おれには「あなた一人で生きてくださいね」って聞こえてしまう・・・

「バリアフリー」って、ある意味「人と人との関わり」を無くしていくコトだとオレは思う。

人が周りを気遣い、手助けし、困っている人がいれば誰もが手を貸す。これが当たり前にできれば、特に公共スペースなど「バリアフリー」にする必要はないのに・・・って思う。

それができないから今の流れになってる。そう言い切ってしまうと、もう人と助け合うという文化は薄れる一方だとオレは思う。

多分、はじめは「ちょっと過ごしやすく」って程度だったんじゃないかなって思うんよ。。。

今、若い子の中でおれにとっては不思議なことが起きている。

もちろん、みんなとは言わないが、多くこんな話を聞く。

「安定」を求めている若者が多いということ。。。

先日も大学生と話をする機会があり、そんな話になった。

「安定」って何なんだろう。

こんな「不安定」な世の中で、「安定」なんてあるんかな・・・

あまりによくこの「安定」って「コトバ」を聞くからオレはずっと考えてた。

この世の中でもし「安定」があるとすれば、多分「安定」を求めてる子は何か勘違いしてるかもしれない。

「安定」というのは「歩き続ける」ということなんじゃないかな。

止まった時点で「安定」は無くなる。

それはなぜかというと、世の中が歩き続けてるから。。。

「安定」=「楽」ではないんよ。

そして、より努力して一歩一歩を先に進めることができる人間が、より「安定」していく。

多分その人は「安定」を求めてるわけじゃないんよな。

つまり、「安定」を求めた時点で「安定」ではなくなるんじゃないかってオレは思う。

なんか、だらだらと書いたけど、何が言いたいかというと、

「自分が思ったことをしっかりと受け止めて大事にしてほしい」ということ。

世の中でいう「あたりまえの綺麗なコトバ」じゃなくて、「本当の心の中にあるコトバ」を大事にしてほしいとおれは思う。。。

それは汚くてもいい。

ナマケモノでもいい。

そんな自分を理解できれば必ず次の道は見えてくる。

そこからまた、「歩き続けることができる幸せ」を感じてほしいと心から願う。。。

オレが高校生に最後に言った言葉。。。

みんな楽しく生きてほしい。。。

おれが伝えたいのはただそれだけ。。。

何か伝わればいいな。。。

26th October ,2012

Staff 募集。。。

staff募集のお知らせ。

*7日以内に連絡のない場合は、お手数ですが、お電話またはFaxでご確認ください。

17th October ,2012

『露地の家』 建築見学会のご案内。。。

~ 『露地の家』 建築見学会のご案内 ~



前回の「庭の家」に続き、後藤亜貴建築設計事務所とのコラボ​レーションによりつくりあげた住宅空間が竣工いたします​。

施主さまのご厚意により、建築見学会を開催させていただ​くことになりましたのでご案内申し上げます。

今回は『露地』というキーワードから、建築家と作庭家が 設計段階から意識を共有して「つくり​あげる」空間です。
蹲における「水鉢」、茶室入口の「踏石」、塵穴の「覗石」などの石造品もすべて 地元の石をつかった自作品です。

感心のある方に、広くごらんいただけま​したら幸いです。


日時:2012年10月28日(日)10:00~17:0​0

場所:福山市西深津町6丁目  当日連絡先 090-6​412-3562 Zenjiro Hashimoto 

建築設計: 後藤亜貴建築設計事務所
建築施工: ホーム株式会社

庭 設計施工: 作庭衆 庭譚(LANDSCAPE NIWATAN DESIGN OFFICE)



7th October ,2012

『ふくやま美術館 ワークショップ』 のお知らせ。。。

2012.11.10(土)にふくやま美術館でワークショップを行うことになりました。。。



福山の身近な風景を見つめなおす機会にし、庭をつくるということから、福山城の石垣はどのようにできているのか、どんな樹が植わっているのかなど、様々なことを掘り下げていきたいと思います


とてもリーズネブルな企画です


小学生以上の方々、是非どうぞ^^




私たちの身近に広がる庭。どんな魅力をもっているのでしょう。

「横浜・三溪園の名宝」展で庭の絵を観覧した後、庭師であり風景をつくるランドスケープデザイナーの橋本善次郎さんと一緒に美術館の庭を歩きながら、魅力を探しましょう。

講師紹介:

  橋本 善次郎(はしもと ぜんじろう)

  作庭衆 庭譚(にわたん)
  LANDSCAPE NIWATAN DESIGN OFFICE 代表

  庭師・作庭家。広島県生まれ。東亜大学工学部卒業。
  2010年にオーストリアで開催された国際庭園コンテストでアジア圏初にして最年少でグランプリを獲得。
  代表作に茶庭「美孔庵(みくらん)」(2007年)や、テナントビル「森×hako」(2009年)、2012年同国際庭園コンテストにノミネートされている「Feel Forest」などがある。


開催日:2012.11.10(土) 13:00~16:00

対象:小学生以上

定員:20名 *応募者多数の場合は抽選となります

参加費:300円

場所:ふくやま美術館

お申込み方法:「はがき」または「メール」もしくはこの用紙の申込書にて、ご住所・お名前・年齢・電話番号を記入しお申し込みください。

宛先:〒720-0067 福山市西町2-4-3
   ふくやま美術館「庭を回ろう!」係
    →問い合わせ:084-932-2345
    →e-mail: art2@city.fukuyama.hirosima.jp

締切:11月6日(火)必着

その他:雨天決行
    e-mailでお申し込みの方へ↓
     申し込み日より3日以内に返信がない場合、美術館に問いお合わせください。

3rd October ,2012

『best private plots – Die besten Gärten 2012』を終えて。。。

『best private plots – Die besten Gärten 2012』の結果が昨日発表された。



今回は残念な結果となった。


応援してくれたみんな、ありがとう


それから、

毎回資料作りを手伝ってくれる JYM AND RECORDS -かずくん(Kazumasa Kuwada)

photographerの テルリン(Teruyo Nishiya)

翻訳してくれる建築家の モーリー(Shinnya Mouri)

メールのニュアンスまで読み取ってくれる福山観光のハルコウ(Haruki Urushikawa)

そして、SxLカバヤの設計 イタミさん、SxLのみなさん


そして、もちろん作庭を手伝ってくれた 

東京 しおの(塩野潤 と 弟子の王子)

滋賀 作庭衆 永屋拓郎(タクローちゃん)

滋賀 庭職 きらく(村田康行)

友川造園 友川竜樹・・・



みんな本当にありがとう



実は、今回オーストリアに行くことは断念した。

それは、今こちらで動き始めているいくつかの案件が大事な時期であったことと、前回のようにはいかないと思っていた理由があったから。。。



一昨年は、グランプリを狙っての挑戦でしたが、今回の挑戦は前回とは少し違う趣旨だった。


この工事に関しての想いは以前ブログに書いたので、それを読んでほしい・・・

『エス・バイ・エル・カバヤ 岡山住宅展示場』 を終えて。。。 ~本当にやりたかったこと~



施工に入り、営業部の皆さんの日々の仕事を聞きながら、仕事のし易い(売りやすい)環境をつくれればという想いが俺の中には強くあった。。。


その一つとして、「この庭を世界に持っていく」とSxLの皆さんに伝えました。


「グランプリをとれるかどうかはわからないけど、ノミネートまでは絶対にもっていく。」


おれは、そう心に決めた。


必ずノミネートまではもっていく。。。




これが今回の趣旨だった・・・が、ただそれだけでもなかった。。。



この、日本の住宅事情のなかで最も大きなシェアをもつ大手住宅メーカーの家で、世界で評価を受けるレベルにもってくることができればこれはとても大きなことだと俺は思った。


というのも、当然の話だが、メーカーの建てる「住宅」と、建築家が建てる「住宅」は根本的に目指しているものが違う。


これは、消費者もわかっていると思う。


メーカーは、大きな保障と安心を重視する。

そして、材料は大量生産する。その為、あまり極端な部材がないと同時に、ある程度妥当な均一な仕上がりになる。



建築家は、そのギリギリのラインを攻める。

その為、空間の強弱をつける見せ場はとことんこだわる。

その効果は庭にも表れる。

建築を完璧に読み取ることができれば、樹木のライン、地割り、庭の重要な要素もより強調できるのだ。

だから必然的に庭と建築がお互いを高めあうことができる。



今まで、海外に持って出た庭は、すべて「建築家」と協働でつくったものだった。。。




だから今回は、日本の住宅事情のなかで最も大きなシェアをもつ大手住宅メーカーの住宅で世界に挑戦してみようと思ったのです。。。



これがもう一つの目的です。




今回のこの経験で、また一つ、見えたものがあった。。。




景観の底上げという大きな役割がこれからできるかどうかはわからないけど・・・


全国で頑張る多くの仲間と共に、少しでもそれに近づけるように・・・


それが、世の中の心の豊かさ、笑顔を少しでも増やすきっかけになると信じて・・・





ほんとうに、すべてにありがとう・・・

30th September ,2012

NIWATAN の由来

NIWATAN 庭譚

庭作りとは、ものがたり(譚)をつくること。

庭に使う材料にもすべてものがたりが存在する。。。

庭に新しく入れた材料はそこからものがたりが始まる。

庭を作るにあたって、既存の材料を使って欲しいと言われるお施主さんは多い。それは、その物達にたくさんの思い出が詰まっているからです。

そのことに気付くことができたのは、15歳の時に起きた出来事のお陰でした。。。

私は2歳の時、2階の窓から転落するという事故に遭いました。

その時に私を救ってくれたのが一本の「カイヅカイブキ」という樹でした。
私はその樹に引っかかり無傷でした。
そのまま落ちていれば、多分今この世にはいないでしょう。
15歳の時、家を立て直す事になり、その樹を伐採しようという話がでました。
しかし、私にとってそれは『命の恩木』であり、親にどうしても生かして欲しいと頼み込みました。
そして、移植することになり、地元の庭師さんにお願いしました

その時です。

その庭師さんは「こんなボロ木捨てて、新しく買った方がえーでー!」と・・・私は子供ながらショックでした。
そして、運命なのか、それから5年後に庭師をはじめることとなります。

修行時代から「俺は、絶対にあんな庭師にはならんぞ」と肝に命じてきました。

だから、独立時にこの「譚~ものがたり~」という一文字をとったわけです。。。

ものがたりを大事に生かした作庭を心がける。。。

そんな思いを籠めています。


LANDSCAPE NIWATAN DESIGN+ARTISAN OFFICE・・・2010年5月新設

広島県福山市 繁華街のど真中にOFFICEを新設

遠隔地の仕事も増えてきた事と、世界に発信する時に、より福山という街をアピールできるよう、福山のランドマークである「住吉スクエア」にOFFICEを構えました。

はじめは、何でこんなところに・・・と誰もから言われた・・・

ただ、おれは多くの人に『庭』というモノを伝えたかった。

それと、いつでも誰でも気軽に寄れる場所を作りたかった。。。

そんな訳で、多くの方がフラッと足を運んでくれるOFFICEとなっています。

20th September ,2012

[鞆の浦 de ART] 桝屋project…

9/16~10/8まで 開催中の [鞆の浦 de ART]~朝鮮通信使なう。~


展示を終えた。。。

おれは、その展示と共にそこに至るまでの心の葛藤を綴った短冊を展示した。。。

その内容をここにアップしておく。。。







2012.05.18

子供の頃、鞆の浦といえば「鯛網」くらいしか記憶にない
鞆のまちのことなど考えることなんてなかった

庭師になり「作庭衆 庭譚」の初仕事がここ「桝屋」当主の「本家桑田」であった

それから12年・・・太田家住宅、岡本亀太郎本店、保命酒屋など、鞆の旧家と付き合ってきた

「庭」を通して「鞆の浦」を見てきた

壊される庭もあった・・・

とても寂しく切なかった

ただ出来ることを出来る限り、当時の風景を想像しながら庭に手を入れてきた

何かの資料を基に・・・そんなことじゃない

現存するあの頃の建物と共に過ごしてきたその感覚こそがすべてである

何かをさわる時いつも思うこと・・・

あの時代に自分がいたらどうつくっただろう・・・

材料、物流、環境、技術・・・

すべてをその環境で何を考え、何をつくったのだろう・・・

そう思う平成の庭師が江戸の庭師になり代わり・・・


想いをカタチにします


「桝屋 MASUYA PROJECT」・・・


さあ、みなさんもご想像ください

ここから仙酔島が見えていたあの頃を・・・






012.08.25

あれから3ヶ月・・・

構想は固まっていた・・・

[鞆の浦 de ART]でこの庭を伝えよう

Zenjiro Hashimoto ではなく 桝屋 を表に・・・

きっと江戸時代の庭師なら・・・

ずっとそう思っていた

しかし 何か腑に落ちなかった

何ヶ月もたつのに なぜかチカラが沸いてこない・・・

なぜだろう・・・

こんなにも長い時間この庭と向き合ってきたのに・・・



見えない・・・



暗くなるまでこの空間と向き合った



本当にこれまでの考えでいいのだろうか・・・


わからなくなった

何も見えないまま

夜の海を目の前に


真っ暗な闇に突入した・・・




2012.09.09

12日から準備・・・

さらに深い闇の中

[art]という見せる場が どうもこの「桝屋」での作庭と結びつかない

何かがボーっと見え隠れしている

[art]って何なんだろう

自分の役割って何なんだろう

ここでやる意味は・・・

ずっとそれを考えていた

[モノヅクリ]=[art]ではない

じゃあなぜオレがここにいるのか・・・

[artist]って何の為にツクルんだろう

自分のエゴなのか・・・

いや、そうじゃないはずだ

自分の中から湧き出てくる何かを 

誰かに伝えたいんじゃないのか・・・


何かを伝える為、感じてもらう為、日常にない感覚を味わってもらう為にツクルんじゃないのか・・・

自分の中にある何かをカタチに変えて周りを幸せにする為・・・


[art]って[伝えること]なのかもしれない


オレがやってることと何も変わらないのかもしれない・・・





2012.09.10

[art]の為の作品を 今これから再生させるこの庭に持ち込みたくない
それがオレの心の中

おれは 代々ここを守ってきたお庭番のことを考えてきた
この10年間 ずっとこのお庭のことを考えてきた

かつて この庭の向こうには離れと大きな蔵があった
今はもう その姿はない

景色は大きく変わった
このお庭はある時から取り残され いつしか見る人すらいなくなった


もしここに 江戸時代の庭師が突然現れたら・・・
困惑するだろうな・・・

流通、道具・・・あらゆるものの変化の中で同じものを作ろうとするだろうか・・・


ありえない


今のこの場所 この建物 この背景に最高に合う庭を
あらゆる技術とノウハウを駆使し
新たな空間をつくるに違いない


今のオレがやるべきこと・・・

江戸時代のお庭番が考えられなかった空間を

江戸時代のお庭番が残してくれた技術とノウハウを発展させてカタチにすること・・・

それが「桝屋 お庭番」を引き継いだオレの役割なんだ

置き去りにされたこのお庭を 潤いある空間に引き戻すこと・・・

それがオレの役割であり


若いお庭番を育ててくれた「鞆の浦」への恩返し





2012.09.11

頭の中が整理されてきたものの、依然すっきりしない

構想がまとまらない

「桝屋 再生」という役割を この [鞆の浦 de ART] と結びつけた自分に後悔すらした


おれは[art]というコトバに縛られていた

何か コレ というものをつくらなければいけないような気持ちに苛まれていた

この庭で、ただカッコいいモノをつくることはできる

「再生」というテーマで湧き出すモノを彫刻で表すこともできる

でも・・・何かが違う


この「桝屋」でそんなことしてもオレが展示する意味がない・・・

心の中でそう繰り返していた


背伸びしようとしている自分が見える

自分らしくない

カッコよさを求めることが 自分の表現じゃない


空間に 無駄なかっこよさは必要ない

カッコつけたくない

ありのままを見て欲しい


さらけ出そう・・・


自分らしさを見てもらえばいいんだ


明日は とにかく現場にはいろう




2012.09.12

現場に立つ

煙草に火をつけ、数え切れないほど見てきた景色ともう一度向き合った

その時、以前から気になっている部分が目に入った

手水鉢周りの石の配置だった

ずっと思っていた

あるはずの飛び石がない・・・

ただ おれは 腐敗したありのままの庭の姿も多くの人に見ておいて欲しかった・・・
それがこの庭に手をつけれないでいた原因でもあった

しかし このままの状態の「庭」を多くの人はどういう想いで見るだろう・・・

本当に何かが伝わるんだろうか・・・

伝わらないんじゃないか・・・

いや 伝わらない


気づけばオレは草を抜きはじめていた

一本一本丁寧に草を抜いていった
体が勝手に動く・・・
そのまま庭中に乱雑に置かれた石を一つ一つ動かし、庭に放り出されたものを取り除いた

そしてゆっくりと眺めたあと、気になっていた飛び石部分を掘ってみた・・・

カチン・・・

飛び石が姿を現した

これは、元の庭に土が盛られていたことを示していた

元の地面をだそう

地面を這い蹲り土を丁寧に撫で 削っていった

半分まできたところで辺りは真っ暗になり、逸る気持ちを前に現場をでた・・・





2012.09.13

昨日の続きに取り掛かる

進むごとにこの庭の歩みが見えてきた

元々なかったであろういしをすべて取り除いた
その後に現れた庭の中に どうしても不自然な石が一つだけあった・・・

なぜこんなところに・・・

わからなかった

何もチカラを感じない

オレは金テコを持ち その石を少し浮かせてみた・・・


埋まってない・・・


建物解体後 向かいのブロックを積むときに邪魔だからよけたんだ
そして ブロックの基礎をつくる為に掘った土をそのまま周囲へ均したのか だから飛び石も埋まってたんだ・・・

すべてが理解できた

そして その置き去りにされた最後の石を吊り上げた時 

オレ中の闇がすっと晴れていく景色があった

これだ・・・

その石は 右手にある発掘した空間と 左手にある置き去りにされた石たちのど真ん中 何もない「無」の空間に浮いていた

それがオレには 

「過去につくられた庭」と「これからつくる庭」を繋ぐ


「再生への架け橋」に見えた・・・


ここから見てもらおう
1ヶ月間、このままにしておこう


考え続けた心の中を ありのままの姿で・・・








それから最後にこう綴った。。。








「庭」は生きている

どんなに素晴らしい庭も 経済状況、その他諸事情により 姿は変わっていく

ただ、どんなに 姿 カタチ が変わろうとも
成長し続けるものがある


それは 場の空気感・・・


「庭」は生きている


樹木は育つ または 枯れることもある

しかし 時間の経過はそのまま残るのです


なぜ 今 「鞆の浦」が脚光を浴びているのか


それは ほかでもない 

成長し続けてきた「空気感」をそのままの姿で残す要素が より多くそろっているから

その「空気感」を復活させるべく

来年の「ひなまつり」に向けて 

この庭の完成を目指します


もしも 時間の余裕があるならば 

是非再度「桝屋」へお越しください


お待ちしております・・・

    Zenjiro Hashimoto

2012.09.15 Finish

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