5th February ,2009

「森×hako」を終えて、夢をカタチに・・・

7年前の独立直後、仕事もない頃にしとんと再会した。

二人は高校時代の親友。
あの頃、学校も行かず、毎日パチンコ三昧、飲みに行くわ、警察のお世話になる事もあったオレらは10年の時を経て少し変わっていた。

にしとんも家の事情で厳しい状況に耐えていた。
10年振りにあったおれらは、自分が目指す仕事のスタンスについて夜中まで語った。。。

その時のにしとんのコトバ・・・


「森の中で診察したい。。。」


オレはそのコトバにこう返した。


「やろうや。いつかやろうや。オレが森をつくっちゃる。」


この時の約束を胸に、オレらは幾度となく励ましあってきた。

ここまでの道のりは互いに楽ではなかった。。。

何かがあると飲みに行き、夜中まで話し元気をもらった。。。

話しているうちに、何でもできそうな気になってくる。。。


そんな中、まえちゃんという強い味方との再会があった。
まえちゃんとの再会も絶妙で、以前のナンパ仲間じゃった。


それからというもの、三人は同じ目標を胸に励ましあってきた。

この七年間、彼らがおらんかったら今のオレはおらんじゃろう。。。


潰れそうになった時、道をはずしそうになった時、いつも二人はオレを連れ出してくれた。。。

最後は
「何とかなるで。やるだけじゃろ。やったらえーがー。」
これが口癖になった。


そして、この福山の地を愛し、その故に問題を常に考えてきたオレらは、その夢をもっと大きな物に変えていった。。。



「この空間で福山を変えよう。一人でも多くの人が景色に興味をもてるような、ゆとりをもてるようになるような空間にしよう。。。みんなが思いを持てる福山に。。。福山を変えるスタート地点に。。。」


三人の夢は膨らんだ。。。


七年越しの夢をカタチに。。。

カタチにしようというオレらの思いは強かった。。。



三人の話し合いはいつも朝方まで続いた。。。

そんな中、半年前に夢の現場はスタートした。


スタート間もない頃、大きなミスに気づいた。
ガラスの搬入に関することじゃった。

勉強不足で、先にガラスを入れなければ、作庭後では入らない事に気づいた。。。

ここは、四つの空間をガラスで仕切る仕組みになっており、ガラスをすべて入れるということは、樹木、石、土、生コンなどすべての材料を窓から人力で搬入することになる事を意味していた。

工程に大きな差が出てくる重大なことじゃった。

やばい・・・おれは動揺した。。。

長年連れ添ってきた二人がオレの異変に気づくのに時間は掛からなかった。


二人はオレを現場から連れ出し、元気付けてくれた。。。


オレは腹を据えた。。。

どんなに時間がかかっても、どんなに厳しい状況でも必ずやってやる。。。

オレは逃げん!!!

と・・・



12月終わり頃、中庭の工事で格闘する中、ずっと話し合いが難航していた入り口駐輪場のゴーサインがでた。。。

これは、90%お蔵入りするだろうと言われ続けながらも、三人とも10%の希望に掛けて動いていた工事じゃった。。。

嬉しい反面、中庭のことで頭がいっぱいじゃったオレは、駐輪場の植栽工法に不安がいっぱいじゃった。

夜中に現場から帰り、朝まで図面と闘った。
げっそり痩せこけた。。。

何度も工法を変え、見積もりをかけるも到底実現しない金額が提示された。

施工一週間前に迫るも、まだ決まらない。

焦りだけがオレを襲った。

そんな中、以前からコラボレートしていた鉄関係を専門とする早間君が手を差し伸べてくれた。



「ぜんちゃんのイメージがあるんじゃろ?そのままカタチにしようや。オレに出来る事はするで。。。」




一週間を切った頃、やっと施工の目処はたった。。。


不安要素は多かったが、あとはオレがやるだけの状態になった。。。



絶対にやってやる。

やるしかない。。。




そして1/29。。。



中庭、駐輪場ともに、洗いを残しほぼ完成した。。。



「おっしゃー!!!おわったーーーーー!!!!やったどーーーー!!!やりきったどーーー!!!!!」



オレはその場で叫んだ。。。


最後の三日間の徹夜を経て、1/30 0:00頃、現場に横たわるオレ、若い衆の竜樹、にしとんの、はしゃぐ三人がいた。。。


胸いっぱいになったオレらは眼に涙を浮かべた。。。


込み上げるものを抑える事はできなかった。。。

現場は静まり返っていた。




「夢って叶うんじゃな。。。」



「ほんまじゃな。。。」



「七年って長かったけど、七年で夢を叶えたってすげーな。。。」


「ほんまよな。。。」



「でも、オレらの思いは相当強かったな。。。」



二人はぼそっと呟いた。。。




「やりきった。。。」



「オレはすべてを出し切った。。。」



「今のオレにこれ以上のことはもうできん。。。」




「森×hako」・・・



ここにはオレのすべてが詰まっている。。。

今まで生き、出会い、喜び、悲しみ、苦しんだすべてのこと。。。



オレの思い、生き様が。。。





にしとん、まえちゃん、デブ、早間君、竜樹、これに関わってくれたみんな・・・


一人じゃ闘えんかったわ。。。
仲間に助けられた。。。


オレ、逃げずにすんだわ。。。



ありがと。。。



ほんまにありがと。。。




これを読んでくれているすべての人へ・・・

夢は必ず叶う。。。

思いを持ち続ければ。。。

諦めず、自分に立ち向かう事。。。

逃げない限り、夢は必ず叶う。。。

そう、強く強く、強い思いを持ってください。。。

強く思い続けることが出来る人には、必ず仲間が現れる。。。

一人じゃできなくても、必ず夢は叶う。。。








これこそ人生じゃと、感じることの出来た「森×hako」。。。






すべてはここから始まる。。。


新たな目標へのスタート地点。。。





「森×hako」。。。






ありがとう。。。


6th September ,2008

生きることの意味、伝えるという役割。。。

遠方の現場が続く中、「行為の庭」「。の庭」をアップする余裕もなくあっという間に一ヶ月という時間が過ぎてしまった。


そんな中、昨日 雑誌「庭」の取材が終わった。


メディアへの露出が増えてきた最近、この縁に恵まれた状況が何を意味するんじゃろうかといつも考える。


それは、実は今に始まったことじゃない。このブログをはじめた時、ずっと悩んどったことでもある。


薄っぺらな情報が蔓延したこの世の中で、いったい何人の人が本質を見極める事ができるんじゃろう・・・
勿論、おれが本質を見極めとるんかどうかはわからんし、そんな偉そうをいうつもりもない。
しかし、何人の人が「庭」というキーワードの元、心をうつ事ができるんじゃろう・・・


この忙しい世の中で、「庭師」という職業につきながら、何人の人に「心のゆとり」を与えてあげることができとるんじゃろうか・・・



自分の身近にいる人ですら、庭師という仕事がどういう仕事なのかわからない、おれが何をしとるんか知らん。

それじゃいけんと思い、ブログをはじめた。


オレは、庭譚という屋号の通り、庭のストーリー性を重視してきた。
それはクライアントが、このストーリー性により自分の庭である事を認識してもらう為である。
それは、庭を大事にするという行為にも繋がってくる。

そこには、1分でもいい、30秒でもいい。自分が作った「庭」を眺めるという「心のゆとり」をプレゼントしたいという想いがある。


庭師という職人は多くを語らず「見ればわかる」。そういって今まで過ごしてきた。
しかし、その結果どうだろう。

どれほどの「いい庭」「いい景色」が壊されてきたか・・・
建築業界に押され、スペースはなくなり、庭の領域が狭くなってきている現実を見て見ぬ振りしてきたんじゃないか。。。

感覚でつくる。もちろんその通りじゃ。

でも、それを語らない事でこわされてきたものがどれだけ多いかとオレは思う。

何も語らず、「見ればわかる」でどれだけの人が本当にわかるのだろうか・・・

わからんやつはほっときゃいい。

ほんまにそれでえーと思うか?

オレはえーはずがないと思う。


オレがなぜこの「庭師」という職業にありつけたのか・・・


それは、先人が「日本の庭」というものを追求し続けてしてくれた結果である。

そう、日本の「文化」である。

俺らがしとる一つ一つの行為が「文化」になるんじゃ。
今はわからん、そんなことも考えてないかもしれん。

でも、「文化」って何気ないことじゃ。

今、「マイ箸」がブームになっとるけど、これが百年二百年、千年続けばそれは「文化」になる。

何気ない一人の思いつきが「文化」に変わっていくんじゃろ。


でも、「文化」になりえるには「続ける」ということが不可欠じゃ。


「庭」というものがこの日本の「文化」じゃけーこそ、俺らは食っていけとる。

その「庭」が危ない局面に、おれはたっとると思う。

建築家が外構を設計するという現実が、実際にあるわけじゃろ?


大工の棟梁が建物を設計していた時代に「武田伍一」という人が現れ、建築家という職業ができた。
それは、建物というモノを言葉に換えるために相当勉強したに違いない。

勿論、「庭」というもののすべてを「コトバ」で説明することなんてできんじゃろう。

しかし、キャッチコピーみたいなもので、人の心を傾ける為の「コトバ」をつくることはできるとオレは思う。


良い職人ほど語らない。。。

それじゃ今はまずい。

だって、いい職人じゃないとは言わないが、「コトバ」で仕事を取ることができる情報網ができてしまったから。。。

「庭師」という仕事に出会い、「文化」の真っ只中におかれたオレらの役割。。。



それは、「庭師」が「庭」をつくるということ。

そして、「庭師」が「まち」をつくるということ。




しっかりとした信念の中、一生懸命「庭」の本質に挑んでいる人たちはもっと「伝える」べきじゃとオレは思う。。。



そして、この「伝える」ということの為に、自分の仕事を「コトバ」に替えるという行為が非常に重要じゃということ。。。



一人でいい。

自分が発言することで心をうってくれる人が一人でもいればそれでいい。。。



自分が追い続けている「庭」という世界を軸に、「庭師じゃけー感じることができる事」を、一人でも多くの人に「伝える」ことができればそれでいい。



オレが何かを「伝える」ことができるとすればそれは「庭」でしかない。。。



どんな職業の人に対してであろうとも自分が発言することは「庭師として考えることのできた自分」の「コトバ」じゃと思う。。。


しかし、そこに通づるものは必ずある。



それは、本質を常に「コトバ」にかえる努力を惜しまない事、自分の考えを「コトバ」にかえる努力をすること・・・


それは自分の「庭」を「コトバ」にかえることからはじまるんじゃないかとオレは思う。。。



メディアに露出するということ。。。

それは、光栄なことじゃ。


しかし、それ以上に「責任」があるということ。。。


自分が自分の為に生きているんじゃないことを実感させられる。。。



先人達が託してくれた「想い」を次に「伝える」ための駒の一つに自分がなれればこれ以上の幸せはないと常に思う。。。。。

2nd February ,2008

あっという間に。。。

一月が終わった。。。

十二月から鬼のような毎日が続き、一月もその余波は続き、やっと落ち着き始めた。

ここ最近は、手入れ。
応援も加わり捗る毎日。。。

以前の日記に書いた「駅前再開発」の話が、途中やめじゃったな・・・


あらすじから順に話そう。。。


今「福山駅前再開発」が進んでいる。
福山駅は、福山城のお堀を埋めて建てた建物なので、駅周辺を掘れば石垣が出てくるわけだ。

福山市の計画は、石垣を撤去してどこにでもあるチャンガラな駅前を作ろうとしている。

しかし、市民の中で最近それを見直そうという声が高まっている。
「水辺公園プロジェクト」という団体が結成され、10万票以上の署名も集まり反対運動が盛り上がっている。

以前から俺は駅前のお堀を復活するべきだと言い続けて来た。
だから、本来ならば賛成の立場だ。
しかし、その「水辺公園プロジェクト」には気になる点があり、大手を振って賛成できるわけでもなかった。

コンセプトがイマイチはっきりしていない中での運動だったからだ。
空気を作っている者ならわかると思うが、どうせやるなら500年、1000年計画で福山の空気を作っていくべきだと思う。
空想でもいいから、「こういう福山をつくっていきたいと思っています。だから、まずは水辺公園を作って歴史を残しながら作っていきませんか?」っていう感じの訴えかけをするべきだと俺は思う。

ただ「石垣保存しましょう」なんて言われても、ちょっと違和感があるわけだ。
もちろん、今回壊してしまえば、もうあの規模で石垣を積む事は予算的に不可能だと思う。
だから、壊しちゃいけんと俺も思う。

しかし、中途半端な考えで残したところで、どうなるんだ?
500年後の人類まで大事にしてもらえるんだろうか・・・
心が伝わるんか?

そんな思いがあった。
そこで、「水辺公園プロジェクト」の総会に爆弾を持って乗り込んだわけだ。

しかし、、、
そこで答えは出なかった・・・

質問をするも、サラリと交わされた・・・
というか、自爆してしまった感もあった。
何かマイナスな事を言うヤツは排除しようという雰囲気がムンムンで、この若造が!っていう感じじゃった。

自分の力のなさに、悔しさが込み上げた・・・
ほんまに悔しかった・・・
悔しさを我慢できず、年末に関係者と直接コンタクトとり、会うところまでこぎつけた。

ここまでが前回の話。。。

そして、会ってみて感じた事・・・
正直、あまり嬉しい結果ではなかった。
収穫がなかったわけではない。。。
わかってはいたものの、裏にはとてつもなく真っっっっっっ黒な世界があるという事、正規のルートじゃ、権力者じゃなきゃ太刀打ちできない事を思い知った。
更に、これもわかってはいたが、市役所はまったくやる気がない事も改めて思い知った。
あ~~~あ。。。って感じじゃわ。

ただ、ここで俺にしか出来ない一つのキーワードを耳にした。
今は言えないが、秘策は見つかった。。。
俺は、権力者にもならず、「水辺公園プロジェクト」とも違う、一市民としてそれで戦ってやる。

新種の爆弾を入手したわけじゃ^^^^^^
もちろん、仲間はおるしな^^

結局、純粋に俺は俺のやり方でやっていこうと思ったわけじゃ。
やっぱそうじゃないと面白~ないもんな~。
いち庭師のzenjiroとしてのやり方でやっていく^^

俺は、「まちづくり」に絶対に必要なことは、いつまで経っても揺るがないしっかりとしたコンセプトを守り続けるということだと思う。
そして、世代の壁を越えて、皆でつくるということ。
この二つがない限り、「まちづくり」の成功はない。

歴史を守っていく事は大事な事だ。
しかし、作っていく事も大事な事だと俺は思う。
今までの歴史を守りながら作っていく事。。。
「ものがたり」を引継ぎ、そして新たな「ものがたり」を作る事。。。

そう、俺の「作庭」そのものだ。

秘策はある・・・いつになるかわからんがつづく。。。

1 2