9th January ,2019

NIWA 234/ Jan.2019

NIWA 234/ Jan.2019』に全国の庭師の仲間とともに仕上げた現場 CONNECTION OFFICE [SHIBUYA BRIDGE] が掲載されました

SUPPOSE DESIGN OFFICE  https://www.suppose.jp/ と協働したCONNECTION OFFICE 佐藤振一さんの写真が表紙を飾り、建築家の谷尻さんとの対談が掲載されています
庭師に対する建築家の想い、今回全国の仲間に声をかけた僕の想い、これからのモノづくりのことなどをお話ししています
是非読んでみていただけたら嬉しいです。。。

19th December ,2018

ANCHOR HOTEL FUKUYAMA

12/15 ANCHOR HOTEL FUKUYAMA がOPENした

ここの話の打診をいただいたのは今年の夏頃だった
打診は頂いたのだが、それから話がなくどうなるのかはわからなかった
8月を過ぎた頃、そろそろほんとうにやるなら打ち合わせしなきゃ間に合わないとこちらから声をかけた

その頃、おれは東京 渋谷BRIDGE の現場でバタバタとしていた為、なかなか時間が合わず、結局初の打ち合わせが9月にもつれ込んだ
サンクレア 中田氏
建築家 西村崇建築設計事務所
そして話をつないでくれた幼馴染でサンクレアともつながりの深い東氏
三人がOFFICEに訪れた

話の内容から12月にOPENしたいとのこと
残りは三か月を切っていた
今、NIWATANへの依頼傾向としては基本計画段階での依頼がほとんどの為、着工は約2年くらい先になる依頼が多い
こんな工期でデザインを考えていくことは少ない
自分の中でこの仕事を受けることができるのかどうか、悩んだ

何故かというと、それはずっと自分の中で決めていることで、自分に依頼してくれた方に対して自分らしいパフォーマンスを出せない仕事は受けないということを決めていたから
仕事の大小ではなく、期待にこたえられるのかどうかという問題

初回の打ち合わせで予算、工期、その他のことを聞き、これはいい結果が出せないと判断し、外構計画にお金をかける意味、それによりできることが変わること、おれの仕事は庭を作ることではないということ、そんな話をし、今の話ではパフォーマンスを出すことができないから、いくつかの案を提案し、どういう結果になろうと構わないからもう一度この話を社に持ち帰り、うちに依頼するのかどうかも含め考え直した方がいいという話をした

NIWATANは、庭をつくる会社ではあります
でも、いまやっている仕事はそれだけではない
建築側と話をしながら領域を絡めあい、どちらがパフォーマンスをだせるのか検討し、いい方を選ぶ
そうやってお互いを尊重し、いい空間を目指す

だから、SIGNや表札、照明はもちろん、オブジェや内装 建築内部まで仕事が及ぶこともよくある
左官工事、大工工事、鉄工事、石工事、照明、水道、もちろん植栽工事
空間に関してのコンサル業務も伴う

今回のケースもそうだった
当初の計画で本当にそこに庭が必要なのか。
計画予算はどういう導き方をしているのか。
費用対効果があるのか。
ここでどういう営みを生みたいのか。
庭を作ることでの付加価値はなんなのか。

そんなお話を交わした

それからどうなるのかと思ったが、中田氏の反応は早かった
次の日に連絡があり、「失礼な依頼をしてしまいすいません。提案頂いた案でぜひお願いします」と返事をしてくださった

おれはその中田氏の素早い対応がとても嬉しかった
その後、打ち合わせになったが、建築の話が主。庭のことはほぼフリーで任せてくれていた
その中で、福山の産業である鉄でいろんなもの作りたいとの話を西村氏から聞いた
その時で工期は残り2か月を切っていた
その段階で、まだ施工者が決まっていなかったのでおれはいつも右腕としてうちの鉄工をやってくれていた 千年の井上君を差し出した
井上君に連絡し、サポートするからやってあげてほしい。と。。。

ここからが苦しかった
2か月前に工事の全容を知り、そこからプランを考えるも名案が浮かばない
プランは30を超えたがこれだと思ったプランに行きついた時、すでにOPENまで10日を切っていた
段取りに間に合わない電気配線や、歩道を敷地に取り込むためのインターロッキングはすでにプランを出していたが、他の段取りとの調整で打ち合わせしたが、実際の庭の施工に与えられた工期は僅か2日だった

そこから素晴らしいチームプレイがはじまった
今回、このプロジェクトでは地元福山の地産地消というテーマもあった
それ故、庭のデザインも福山の産業である鉄、材木 オリジナルのオブジェベンチで空間を構成するプランを考えていた
材木は  池上産業のアコヤ材 池上さんが協力してくださった
鉄は井上君の手が空かない
建築側へ井上君を差し出したことを少し後悔した
その上、今回の案件はCADで書かなければできない角度と寸法で精密なプランだった
とっさにおれは㈱三暁 の早間君に連絡し、工期がないんだけど助けてほしいとお願いした
早間君は、嫌な顔一つせず、喜んで引き受けてくれた
納期は五日後、図面は随時送る と。

早間君は、そんなバタバタな依頼をニコニコした笑顔で受け入れてくれた
毎晩朝方まで図面のやり取り。
おれは昼間はその他の造作を副代表の友川、急遽呼び寄せた以前のスタッフ望月と。
その最中にも早間君と詳細のやり取り。。。そんな中で何とか鉄工を収めてくれた
現場溶接が必要になった頃、井上君の建築側への納品が終わり、急遽現場溶接を手伝ってくれた
焦って作った鉄工のため、指示に落ちがあったが、早間君は再々現場に足を運び作業を手伝ってくれた

そんなやり取りの中、早間君率いる ㈱三暁 が数少ない鍛造いかりの製造を得意とする会社であるのに鍛造仕事を依頼できていないことが頭に引っかかっていた
それが功を奏し、一つのアイデアが。。。

今回この「ANCHOR Project」はアートディレクターの飯島広昭氏 が監修している為、ロゴは飯島氏のデザインだった

そのロゴをオブジェ化したらシンボルになる。。。
そんな景色が頭に浮かんだ
すぐに早間君に連絡し、簡単な絵でこんなものを作ってほしいと。

早間君は、すべての短納期の仕事をできたその日の夜納品というあり得ない日程で予定通りやってくれた

そうやってがんばって迎えたOPEN当日・・・

庭は完成しなかった

正直、二日では無理かも。。。と心の中では思っていた
でも、やってみると中田さんと約束をした

もう間に合わない もうこの辺であきらめて終わらせようか。。。そんな気が何度もよぎった

もちろんそれは本意ではなかった
そんなこと、今までしたことはない・・・
それではここは流行らない
心地いい空間にならない
最後まで納得いくようやり遂げよう
人が集まる空間になるまで

そう思い、一度作ったベンチに手をかけ、壊した

その夜、中田さんが諸事情で不在の中、サンクレア 東さんが声を掛けてくれた
「もう工期のことは考えないでください。社長の細羽も納得いくものを作ってほしいと言っています。外に善さんがいるホテルということで大丈夫ですので、工期は善さんが決めてください。」と・・・
1F 「ANCHOR BAR with あき乃」の鹿田さんも工期の延期を快く受けていただいた

有難い言葉だった

OPEN後には、多くの方が訪れその中には知り合いも多く「おー、まだ終わってないんだ。善ちゃんらしくていいね。いいものつくるってやっぱり時間かかるもんね」といい意味で声を掛けてくれた
差し入れを持ってきてくれる方も多くいた
とても有難かった

そして、昨晩 完成した

工期が遅れることはいいことではない
でも、本当に大事な事は何なのか、中田氏との会話の中で語ったことを最後まで守れた気がする

この工事でも大事な事を貰い、また共有できた気がする

大人が通常行う仕事ではあり得ない出来事を、いい意味として受け取ってくれたみんなに感謝できると共に、
ほんとうに作っているのは人と人との心のやりとりであり、その出来上がったものとそこに費やした時間がそこに関わった人、その後訪れる人にとってその後の人生に影響しうることなのかどうかということだと実感できる思い出深い現場となった

だから庭を作るだけではないんです・・・

庭はそんな中でできていくんです

アートディレクター:飯島広昭
建築家:西村崇建築設計事務所
外部空間 設計・施工 + ANCHORオブジェデザイン:LANDSCAPE NIWATAN
鉄 内装テーブル・建具:㈱千年 井上裕樹
鉄 外部 + ANCHORオブジェ製作:㈱三暁 早間寛将

14th March ,2018

ELLE DECOR no.154

ELLE DECOR no.154』 に onomichi[n] が掲載されました

11th June ,2017

誰のために庭をつくるのか。。。

[canyon]…表札とお社製作を残し、一旦完成

15メートルの流れを8トンの石を使い渓谷をつくった
流れはデッキの下を抜け、玄関わきに抜ける

とても心地のよい空間に仕上がった

今回も4月5月は滋賀県から「庭職きらく 村田康之」、東京から「矢島武庭園 矢島」、6月は神奈川から「湘南庭風 西窪周二郎」それから番頭のたつきと仲間のよしのぶ、KOKORONEの原田など多くのメンバーが応援に来てくれた

最後に50㎡の駐車場土間 ビシャン仕上げがあり、4日半ビシャンを打ち続けた

最後の最後に修行のような時間が待っていたように思う
自分との闘いだった

いつも思うことがある

庭は誰かのためにつくるものだと。。。

もちろんそれは自分のためにつくるという人がいてもいい

ただ、おれは違う

自分のためにつくることに力が湧いてこない

相手がいてこそアイデアが湧きだしてくる

誰のために、どこにつくるのか。。。

とても重要なことだと思う

空間をつくる上で最も大事なことだと思ってる

それを追求すればそこにしかない最高のものが生まれる

周りの空気と、そこで営む人の空気を最大に生かせれば必ずいい空気はできる

そこに小手先の技術は必要ない

必要なことは、様々な経験からくる空気の読みと苦しい状況から逃げない忍耐力だと思うのです

その空気を読むためにいろんな経験、スキルが必要になってくるのです

やるか、やらないか。。。

これはすべてのことに繋がってくる

何をやってても同じです

そして、もしそれができて最高のものができたとしてもそれが最高ではないことを心に刻むことが何よりも大事なことだと思う

来週から新たな「流れの庭」に入ります。。。

応援募集です
興味のある方、お待ちしています。。。

 

28th March ,2017

仕事って・・・そしてスタッフ、応援、オープンワークの募集です。。。

石で作ったワインクーラーの水抜きキャップ。。。

なぜこうなったのか。
水鉢が大きく、常に水が溜まると抜くのが大変な上にいつも掃除しなくてはならなくなる
これが毎日続くのはつらいだろうな。。。
いずれ水は汚れ、ボーフラが湧く・・・
俺だったらこんなのあったら面倒くさいな・・・と思った

かっこいいものつくってやろうと思ったわけではない
でも、いい空気にしたいとは常に思ってるし、かっこ悪いものはもちろんつくりたくない
ただ、これを使う人がウキッとする瞬間が長く続くにはどうしたらいいのか。。。
そう考えた時、アイデアは生まれる

ふとアイデアが見えてきてそれをカタチにおこす

もちろんうまくいくことばかりじゃない
むしろうまくいかないことの方が多いかもしれない

それでもまたアイデアを出す
失敗を失敗にしたくないから、失敗は成功のきっかけだと理由をつけてさらに改良する

素材、カタチ、寸法・・・
最後はミリ単位で調整する

そして、バチッと空気にはまるものができる

そしてそれを見て喜んでくれる人がいる
そしてその姿を見て喜ぶ人がいる
そしておれも嬉しくなる

喜びが連鎖していく

これが仕事の原点だと思う

先月、小学校で授業を行った
「仕事について」という内容だった

ここで伝えようと思ったこと・・・

それは仕事は探すものではない、つくるモノだということです

特に小学生なんてもっと自由でいいなと思うのです
もちろん、どんな仕事があってどんなことをやっているという知識は入れるべきです

でも、重要なことは自分が何をやりたくて、何をやっている時が一番楽しいのかを知るということです
そして、次にそれが人に喜ばれることなのかを考える
もし、それで自分がやりたいことをして人を喜ばすことができればそれは仕事になる可能性があるということです
だから、こうしたいと思った時にそれは自分がうれしいだけなのか、それともそれによって誰かが喜んでくれるのかを常に考えてほしい

自分が嬉しいだけのことは「趣味」にすればいい
だれかが喜んでくれることは「仕事」になる

だから、それを見つけるためにやりたいと思ったことはたくさんやってみてほしい
それを小さいころから多くやればやるほど、自分がやりたいこととやりたくないことの分類ができる

そうやって「仕事」をみつけるんだよ

 

そんな授業をしながら、いろいろ考えてしまいました

ということで、スタッフを募集します
経験未問ですが、造園経験者はもちろんありがたいです
土木経験者、左官さんなど他業種の職人さんの転職も大歓迎です

同時に、応援、オープンワークも随時募集しています

詳しくはコチラから

ご応募お待ちしています

Recruitment of staff is here…https://landscape-niwatan.com/recruit

17th March ,2017

手入れという仕事。。。

長期作庭中の現場は、材料待ちでもう少しというところで中断。。。
ここ最近は、まだ回れていない手入れに回っている
優しいクライアントでみなさん何も言わず待ってくれている
ほんとに感謝の気持ちでいっぱいの中、この時期にふさわしい鋏を入れていく

少し手入れについて書きたいと思う。
これは、あくまで自分自身の考え方であり、すべての庭師がそうでなければならないと思っていないのと、だれを責める気持ちもないので参考までに読んでほしい

ある出来事があった

庭の手入れというのは、クライアントと長い間のお付き合いになる
若かったクライアントも段々歳をとり、管理していくことが苦痛になってくる方もいらっしゃる

先日こんな事があった

「もう大変だからあの大きい樹を軒下くらいのとこでぶち切ってくれ・・・」

「はぁ・・・」

おれは何となく寂しい想いになったが切ってくれと言われた現実も受け入れざるを得なかった
長い付き合いの中でその状況も来るだろうと予測していたからだ

一旦その言葉を飲み込み、「わかりました」と返事した
実はその時の僕の心の中は悲しさと悔しさと申し訳なさで力が抜けるほどがっかりしていた

庭師の手入れというのはどういう仕事なのかを少しわかりやすく説明しときます

庭師、植木屋、造園屋・・・今は色んな呼び方がある
でも、僕にとっては呼び方なんてどうでもよく、何でもいいと思ってて、やっていることがみんな同じだとも思っていない

僕がやっていることは、空間のスタイリストみないなものなのです

手入れにしてもそう
庭や建築、背景の景色、そしてそれぞれの樹木の成長具合から空気を読み取り、心地よい空間に仕上がるよう鋏を入れていく
そして、その樹木がその樹らしく育つことができるようバランスをとっていく

樹のスタイリストです

ただバスバス切っているように見えるかもしれないし、そういう人もいるかもしれない
でもそれは違います
樹は切れば切るほど不自然になり暴れる
ただ、その樹の性質を把握することができればその樹の成長を止めることができる
厳密にいえば、落ち着いて成長するので見にくい伸び方をしなくなるのだ

そうやって、その樹らしいその樹が一番かっこよく育つことができるように鋏を入れる
無理やりかっこよくするのではなく、その樹の個性を信じ伸ばすのです
そうすることにより、その樹は手入れした後の木の輪郭を崩さなくなる
結果、鬱陶しさがなくなるのです

以前の記事に書いているが、僕は2歳の時に二階の窓から転落し、一本のカイズカイブキに乗っかって命を救われた

その後その出来事を忘れるも、15歳の時に再び思い出すこととなる

その樹の伐採話が持ち上がったのです

子供ながらにそれまで思い出すこともなかった自分の命を救ってくれた樹を切ることに罪悪感を感じ、移植してほしいと頼み込みその樹は命を取り留めた

しかし、その樹を移植するため訪れた庭師にこう言われた

「こんな樹は移す価値がない。買ってきて植える方が安い。」

俺はむかついたことを今でも忘れない

それから5年後、また忘れていたその出来事を思い出すことになる

奨学金で大学に行きながらアルバイトが必須だった頃、大工という仕事を探していたところ縁ある方から庭師というアルバイトの話をいただいた

俺は何も考えず、どんな仕事かもわからなかったがとりあえず職人みたいな感じだしと思い「お願いします」と返事した

そこでの初日、手入れに行った現場でハッとする

その庭の骨格をつくる一番大事な主木に5mほどの大きなカイズカイブキがそそり立っていた

「あ・・・おれの命を救ってくれた樹だ・・・」

初日から鋏を渡され、カシャカシャ切っているうちに何か感じるものがあった

 

「これが自分の仕事になる・・・天職かもしれない」

 

不思議とそう思った
それから、楽しくまたとても厳しい過酷な修行時代が始まった

修行時代の話や、NIWATAN という屋号にした理由も以前書いているのでそれを読んでほしい
今日はそのことは省きます

それからは色んなことがあった
そんな中、多く考えさせられたのが人々が持つ「樹」に対する気持ちでした
あまりに鬱陶しいと言われる樹が多かったのです
ずっとそれを聞いているうちにだんだんとその樹たちのことが可哀そうに思えてきた
その言葉を聞くたびに、どうにかこの樹たちを褒めてもらえる樹にできないかと考えるようになるのです

独立してから、従来親方から教わった鋏の入れ方を少しずつ変えた
樹の成長に合わせた鋏の入れ方にした
手入れに行っても、切らなくていい樹は鋏を入れない
一本の樹を眺めその判断を自分ですることも手入れの一つの仕事だ
クライアントにとっても手入れするお金もゴミ代もかからないわけだからいいんです

そうやって樹と真摯に向き合ううちに、樹の気持ちがわかってきたというか、性質がわかってきた

すると、樹の成長をコントロールできるようになった

結果、鬱陶しいという言葉は聞かなくなり、伐採してほしいという案件もほぼ無くなった

 

「俺は今、樹の命を救ってる・・・

俺があの時命を救われたのはこういう事だったのか・・・」

 

樹の気持ちを代弁できる職業は庭師以外にはない
自分がそれに気付き、感じることができるなら、それを伝えられるのは自分しかいないのかもしれない・・・
そう思うようになった
もちろん、それは樹のことだけではなく、石、素材、自然界のあらゆることを・・・

樹の命を救う
これは、ただ単に生かしておけばいいわけではない
かっこよく生きてもらいたいのです
おれが、自分なりに自信をもって「お前はかっこいい」と言えるように育ててあげたいのです

で、先ほどの話に戻りますが、「ぶち切ってほしい」・・・久々に聞いた言葉でした

それを聞いた時のおれには二つの気持ちが浮かんだ

一つは、その樹を守れなかった自分の技術と言葉の無さに樹に申し訳ない気持ち
もう一つは、「このままぶち切るという気持ちでは切れない」という気持ち

おれはクライアントを呼び、言葉をかけた

「軒下部分で切ってもまた3年もすれば元の大きさにに戻ります。しかも不格好な伸び方で。僕はそんな姿になるこの樹が可哀そうに思います。人間で言えば、裸にされてダッサイ服着せられて立たされるようなもんです。だから下から切ります。今の時期なら下から切っても吹き返します。そして、この樹らしくかっこよくコンパクトに裁いていきます。それでいいですか。

ただ、一つお願いがあります。あの樹を切る前に一度、樹に頭を下げてください。今まで100年近くこの家で育ってくれたんです。切らなければならない事情は理解できます。樹もきっとわかってくれます。これを植えたご先祖様も、もちろんあなたたちのことが大事だと思います。だから、あなたたちの選択は間違っていません。僕も嫌なわけではないんです。ただ、この樹にありがとうと感謝の気持ちを持ってください。ぶち切るという言葉は使ってはいけません。これは気持ちの問題です。樹も生きています。。。」

 

そう語りかけ、そしてその後、僕がなぜ庭師になったのかを詳しくお話しした

そしてクライアントはしっかりと感謝の気持ちを樹に伝えてくれた

樹を伐採したり切ったりすることが悪いわけではありません
自然界では何かが生きるために何かが犠牲になりバランスが取れています
気付かず間違ったことをしているかもしれません
それも仕方ありません
でも自然に対する感謝の気持ちだけは持っていてほしいなと思うのです
それは人にも繋がってくると思います

私たちは人間界に生きています
だから、人々の営みは非常に重要で、それも守らなければいけません
人が鬱陶しいと思う気持ち、庭で感じるストレス、そう思う人が悪いとは思いません
人の気持ちというものは、教科書のようにうまくはいかないのです
そう思ったらそれが大事な気持ちなのです
その気持ちを解消させることも庭師である私たちの仕事なのです
それをどう、解消させるかがその庭師の力量で結果は変わる
その後の人生にもプラスになる出来事がその庭で生まれればそんな嬉しいことはないと思います

手入れは、そんなことも考え、鋏を入れていくのです
樹の成長をコントロールできればゴミの量が減ります
2年に1回の鋏でいい樹もたくさんあります
はじめの3年鋏を入れた後、10年鋏を入れていない樹もあります
管理費も無駄な使い方をさせたくはないと思っています

庭の管理には手がかかります

庭は必ず必要なものではありません

でも、絶対に必要だと思ってくださっているクライアント他、多くの人々がいます

その方々に感謝しながら、しっかりと真摯に手入れをしたい

その樹の良さ、石の良さ、空気の良さを最大限に引き出せる技術と感覚を磨きながら・・・

そして、その植物、石、自然の景色は多くの生きるヒントを持っています
もちろん、それを無理強いするつもりもありません

考え方はひとそれぞれでいいと思っています

ただ、せっかく出会えた人には、こういうことも伝える機会があれば遠慮なく伝えようと・・・

そんな想いで手入れをしています

少しコムズカシイ文章になりましたが、庭の手入れとはそんなものです。。。

人も自然も、自然にあることを受け止め、それをどう対処するかを考えていけばいいのだと思います
これはどの職業、生き方でも同じことがいえるかもしれません

 

今度はいつか 庭づくり について書きますね

12th February ,2017

日本人であるということ。。。

 

 

気付けば前回のまともな更新が半年前。。。
2016年は、年初めからシンガポールやカンボジアを行き来し、7月からは1ケ月シンガポール、8月はカンボジア、帰国しては現場に入る忙しい毎日だった

カンボジアではレストランの設計が進行中。
シンガポールでは即興に近いスピード感でたくさんのworkerと共に現場を進めた
住宅は仕上げを残しほぼ完成した
GARDENS BY THE BAY ではグリーンウォールも作った
日本では緻密な設計の現場を数件同時進行し、ゆっくりと進んでいた

ほんとうに様々なスタイルでの空間づくりが、様々なことを考えさせてくれた

間もなく広島・福山で8ケ月という長い工期をかけて進めてきた現場が完成する
建築事務所 kitokitoと共に設計をはじめて3年。建築前に移植工事に入ってからは2年4ケ月が過ぎた

沢山の仲間に手伝ってもらいゆっくりと進めてきた
玄関土間の石畳から始まり、石積、流れ、植栽、木工、左官、照明、見えない部分では解体、土壌改良、排水工事などそのどれもに気を使い進めてきた

この現場には、入る前から多くの壁が立ちはだかった

そんな中で踏ん張り立ち続けることは容易ではなかった
ただ、今となってはその苦しさが心地よく残っている

この現場の土地には入る前からすさまじいパワーを感じていた

このパワーに答えなければならない
このパワーを何とか引き出さなければと想う一心で何があっても立ち続けてこれたんだと思う

古くから受け継がれてきたここが持つ空気は、優しい力でクライアント一家を包んでいるように見えた
完成が近づき、そう見えたことで少しホッとした

庭とは、デザインとはそんなものだと思う

つくりたいものがあるんじゃない
守りたいものがあるんだ

伝えたいことがあるんだ

気付けない人に気付ける方法を授けることができるのがデザインなんだ

それはどこにでもあるカタチではなく、そこにしかないカタチの組み合わせ

海外に行ってよく思う

日本庭園は、日本にあるから素晴らしいんだ

日本は素晴らしい
でも、素晴らしいのは日本だけじゃない
世界は広い
素晴らしいこと、人、もの、たくさんある

ただ、日本では日本が一番生きる

土地の力を見きる
そして植物、素材の力を見きる

これが庭師の本領です

すべてを生かす

景色も、気候も、建築も そして人の営みも。。。

それが 庭師 作庭家 造園家 だから庭だけ見ててはだめなのです

オールマイティにフラットに

本質がすべてなのです

絶対に変わらないこと それは私たちは日本人であるということです

8ケ月、完成まであと少し
気を引き締めて

まだわかりませんが、オープンハウスをすることになれば春に予約制で行うつもりです。。。
その際はここでお知らせします

31st December ,2016

ありがとう。。。2016

2016年も終わろうとしています。。。

たくさんの人と出逢い、たくさんの人に助けられ、たくさんの文化に触れ、生きることを考えることができた一年でした

生きるというのは簡単だけど、自分を生きるということは本当に難しい
自分と向き合い、自分を信じ、やり続ける

そうすることで誰かが必要としてくれれば最高です

今年はアジアに出る機会も多く、いろんなチャンスに出逢えました

いろんなことがあったけど、チャレンジし、失敗し、チャレンジし、失敗しの連続でした
ただただ、目の前にくる壁を乗り越える
その連続でした
いろんな方に迷惑をかけることもありました

得るものもありました

失うものもありました

それが2016年、一番印象に残ることでした

答えなんてありません
できることを精一杯やる
それでできることが今の自分のスキルだと思うんです

そして、2017年もさらに真摯に向き合っていこうと思います

もっといい空間をつくりたい

もっといい営みをつくりたい

ありがとう。。。2016年

1st December ,2016

BRUTUS No. 836

BURUTUS 836』 に kokorone hair が掲載されました

29th June ,2016

秘める。。。

歩きたいときに歩けない。

歩きたくないときに歩かなくてはいけない。

生きるってそんなもんだなとよく思う

人それぞれいろんなものを背負っている

今は何となく踏ん張って止まってるって感じ・・・

でも細胞がウズウズして動きたがっているのがよくわかる

でももう少し、、、ぐっと堪えて。。。

 

そんな時もある。誰にでも。。。

はやくつくりたい

いろんなモノやコトを。。。

*スタッフ募集中。。。https://landscape-niwatan.com/recruit

 

 

 

1 2 3 14